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コウノトリ湿地ネットブログ - moriさんのエントリ

11月19日(金曜日)午後
大阪市より、貸切バスに乗って
NPOシニア自然大学 ビオトープ科の皆さまがお越しくださいました。

平成6年5月、大阪自然環境保全協会に大阪シニア自然大学開講され
「人と自然を大切にし、仲間と行動します」のスローガンを掲げて 
平成20年6月にNPOシニア自然大学 となりました。
その中の、ビオトープ科は水質調査や植物観察会をされ
生態系保全のためにビオトープの普及と啓発活動を活発にされています



観察棟から湿地を周り
管理棟でコウノトリの繁殖の様子をお話しました。
皆さん、野鳥や植物に詳しく
私の方が、いろいろと教えていただきました。
湿地管理の苦労も共有してくださり
次回は、作業もお願いしました。

皆さんと湿地を一周して、
皆さんの日常は、豊かに充実してお過ごしのことと思いました。
私も・・・頑張りますね。



地区役員の一人・磯崎茂さんは、重機使いの達人です。
11月14日の日曜日、
昨年に続いて谷の奥・カヤノで小規模池の造成作業を行いました。



今年も兵庫県立大の三橋弘宗先生に立ち会ってもらいました。
谷入口付近での畦の設置などは、スコップを用いた人海戦術が基本ですが、
ここではユンボが主人公です。
湧水がありそうな箇所を見つけ、あるいは水が流れている側、
山際などに次々と穴を掘ってもらいます。
もちろん、設計図なんてありません。
あらかじめ、「ここに穴を掘ればアカガエルが産卵するだろう」と睨んでいた個所を、
磯崎さんに重機で掘ってもらうのです。
 地面を指差して、「ここをお願い」「この辺をこんな風に」 指示は、ほとんどゼスチャーです。
それを彼はうなずくだけ。
 
     
                                                  「段差の下側に池を掘る」

それだけで、こちらの意を100%汲んだ池があっという間に出来上がります。
仕上がり具合に誰も文句ありません。
(これは当たり前で、誰も(三橋先生さえも)イメージに描いているだけで、
この形状が正しいとの確信はないですからね。だから自然再生は面白いんだ) 
新たに掘られた池は12。おそらく来年2月には昨年の池同様に卵塊で一杯になるでしょう。

                                  ※三橋先生、顔が欠けててゴメンナサイ。
 
 しかし、ここでは生物ではなくて磯崎さんの「技術」を重視したいと思います。
重機を操る様は、まるでハンドルが体の一部のように見えました。
だから、こちらとのやりとりが会話のようにスムーズにいくのでしょう。
横で見ている者は、一様に「あれは、頭で考えてできるものではないな。
判断する以前に手が動くのだろう」などと、無責任発言しながら称賛していました。
 

                                     「予定外の河川改良工事も速攻・完成」

 磯崎さんが重機に乗って 日本中に行けば、各地の生きものが喜ぶんだろうな。
 


 
谷の入り口から西光寺を左に見ながら200mほど歩くと、谷は2つに分かれます。
この分岐点の左(北)にあるのが写真の畑跡です。今は耕作されていませんが、
シカ柵が張られていますので、最近まで野菜を作られていたことがうかがえます。


 
山の斜面を利用して段々畑が作られているのですが、
ていねいに築かれた石垣の綺麗さは天下一品です。
「耕作できる面積はわずかなのに」「こんなに苦労して石を積み上げるなんて」 
外部の人間からは、つい収穫量に比して過剰投資ではないかと思ってしまいます。
でも、これが田結地区に生きる人の普通の術なのでしょう。
細長い谷の両側には急峻な山が迫っています。しかも石がゴロゴロ転がっているので、
とても良好な農地にはなりそうにありません。
そんな劣悪土地に人力で石垣を築き、わずかばかりの耕地をつくり、農業を営んでいく。
黙々、黙々とクワをふるい、水を運び、肥をやって作物を育てられていたのでしょう。
そして、その横には小屋が建てられ、お地蔵さまが祭られています。
 
私には、この一画を見るたびに、
この地の人々の自然(土地)に対する態度が分かるような気がするのです。
それは、「共生」というのでもなく、「自然に抱かれる」ともちがう。
「つつましく、礼儀正しい」と表現するのがしっくりくる。
つまり、この谷での人々の労働は、
「自然への作法」のようなものによって成り立っていると感じられるのです。
 
11月15日の夜、地区の人々に対してコウノトリ野生復帰の話をする会があったのですが、
終わった後、榎本副区長からマツバガニをごちそうになりました。
「話をしてくれたお礼に、海の幸を食べてくれ」と、
地区役員を含めた10数名にふるまわれる姿は、
(こう言うと、氏は照れて否定されるでしょうが)男気だけでは言い表せない、
「大きな自然の中での作法」が脈々と貫かれているように思ったものでした。


 
11月18日(木曜日)午前
早川さんが、野鳥の観察に来られました。
当会会員の宮村さんと小谷さんも一緒に観察され
鳥の特徴や観察の仕方などを早川さんから教えていただきました。



早川さんの案内により湿地で観察すると

コガモ 64  マガモ 33  カルガモ 42  ヒドリガモ 51
オオバン 9  ダイサギ 1  コサギ 1  カワウ 4
コウノトリ 2  カワセミ 3  ジョウビタキ 1  ハシボソガラス 5
ツグミ 15  トビ 5  モズ 2  スズメ 20  ハシブトガラス 2
セグロセキレイ 2  ハクセキレイ 1  アオサギ 3  カワラヒワ 5

合計 271羽の鳥たちで賑わっています。

11月9日?15日まで、湿地内で懸命に餌を採っていたヘラサギは
17日の朝より見かけなくなりました。
どこかの空の下で、元気に過していてくれることを願っています。




 
2008年4月、前月末で市役所を退職し、
自由時間をたっぷり手にした私に2つの「事件」が発生しました。
1つは、待っていたかのように4日目に父が倒れ、緊急入院したこと。
神様が、放蕩息子に「看病」という親孝行の手法を時間と一緒に与えてくれたかのようでした。
 もうひとつが田結地区の谷の発見です。
「田結にコウノトリが舞い降りた」との報に接した私は、
28日の午後、荒川秀夫さんと一緒に村の入り口でじっと待ち、
1羽が飛来するや興奮気味で谷に駆けつけました。
そして谷を少し入った所で発見。
コウノトリは私たちを見ると、嫌がるように奥に飛んでいきます。
飛び方が低空飛行なのが気になります。「もう奥に平地はないだろうに」
 狭い谷筋を歩いて追いかけると、何と広く明るい平野部が忽然と現れてきました。
元水田地帯で、コウノトリはそこで餌を探していました。
谷の中央部までは何度か来たことがあったのですが、
奥にこんなところがあったとは全く知りませんでした。
三方の山は低く、耕作が放棄された水田跡はまるで手入れされたように
丈の低い草がきれいに生え揃っています。
湿地状態になっている個所やカモが泳いでいる池もあります。
空気は凛として静寂です。2人が声をそろえて発したのは、「桃源郷だ」との言葉でした。
中央に道路が走っているのですが、私には、東山魁夷さんの絵画、「道」そのものに思えました。
 もし、勤務を続けていれば、コウノトリを追いかける時間はなかったかもしれません。
仮に休日に追いかけたとしても、これほどに感動的だったかは疑問です。
 
 
自分が感動すれば、そのことを誰かに伝えたくて仕方ありません。
コウノトリ湿地ネットの仲間、市役所のコウノトリ共生課、市長、東京のラムサール関係者、
東大の鷲谷先生、県立大の三橋先生・・・。
未だ現場に来た誰かが?を発せられたことはありません。
最初に感じた魅力は直感的で科学的ではありませんが、
誰もが本能的に「本物」のにおいをかぎ取ったのでしょう。
 
 では、本物の正体とは?
これから少しずつつぶやいていきますわ。