前回のつぶやきに対して、いくつかのコメントをいただきました。
ありがとうございます。
年初にもつぶやきましたように、私はこまめに描くのが苦手で、
結果、返信がなかったり遅れたりになりがちです。
ですから、ついまとめて書くようになります。
投稿された皆様には大変失礼なことをしています。
お許しいただき、「チェッ!」と舌鼓されながらお付き合いください。
まず、Nohoo_Zhooさんからいただいた
「人工巣塔設置は設置として、給餌問題とは別に歓迎すべきではないか」
に対して
私が今回の巣塔設置で問題としたのは、
私を含めて誰もが陥りがちな「ルーチン仕事」意識に対してです。
コウノトリ野生復帰に取り組むには、常に再生する意識を持たねばなりません。
現在の(過去のことではありません)環境がコウノトリを死に追いやったのですから、
いつも現状を見つめ直しておらねば、再生などできるはずがありません。
しかし、私たちは、出発時点は緊張感を持ちながら、少し時間が経ち安定してくると、
あるいは担当者が代わり前任者から引き継ぐようになってくると、
「決まっていることをきちんとこなす」ことが重要になってきます。
そして、最悪は無難に予算を消化することに関心が向きがちです。
今回がそうだとは言いませんが、今、本当にコウノトリが餓死するかもしれません。
私は、せめて全員の様子がはっきりした後でもいいのではないかと思うのです。
これが初めて放鳥した直後なら、
おそらく巣塔を建てるより、みんなでまず安否を心配したことでしょう。
「湿地ネットは、雪が降る前からこの場所での設置を問題にしていたか?」について。
コウノトリを野生に帰すとは、人里に再導入することです。
人里なのですから、コミュニティの問題であり、
生業、子どもの教育などなどたくさんの課題があります。
動物も自然も人間もワンセットで考えねばなりません。
『コウノトリ』は農業を変える力を持っており、環境を再生する救世主でもあります。
だから、豊岡では人工巣塔の設置も、地域再生とセットで行ってきたはずです。
今回の設置場所は、パチンコ店の裏です。
地元地域との協議もありませんでした。
私は夜間にウオーキングでこの場所にも来ますが、
パチンコ店駐車場中央の電柱に止まっているコウノトリは誰からも無視されています。
湿地ネットが、昨年から問題にしていたのは当然と思うのですが。
※豊岡盆地におけるコウノトリの地域個体群形成と定着に向けた今後の繁殖はどうあるべきか。盆地のキャパシティ、テリトリー等から見て、どこに、どのように巣塔を設置すべきかの問題は、また別の機会にします。
夢みるおじさんからいただいた
「兵庫県と豊岡市が『自信を持って推進したこと』」について
私は2008年3月まで豊岡市役所職員でした。
コウノトリ野生復帰計画の最初から担当していましたが、
計画策定前後、環境再生取り組み前後、放鳥前後のいずれのときも、
「自信を持って推進」したことはありません。野生復帰の方向性が正しいとの確信はありましたが、成功するとの確信は周りの反応を見れば見るほど持てませんでした。
私が生存している間は、マイノリティで終わるだろうとの方に確信めいたものがありました。
自信は、成果の積み重ねで出てくるのでしょうが、
正直、今も持てていません。
まさにこれからだと思います。
「餌を与えない」について
餌を与えないことは、一概に悪とは言えません。
与えずに自立して生きてくれることが最も好ましいからです。
私は、その場で判断しながら給餌することは、与える、与えないではなく、
コウノトリが懸命に自立しようとしていることに、むしろ、「支援していく」ことだと考えています。
では、コウノトリ管理者(行政・研究者)の判断・行為と住民の判断・行動をどう整理したらいいのか?
過日、このつぶやきの他に、個人の方からメールをいただき、その返信を書きましたので、
その概要を再掲したいと思います。
1.豊岡周辺では、少なくとも江戸後期からコウノトリが生息していました。地形と
気候が水辺の生きものに適していたからです。
2.明治維新以後、全国的に激減した後も、当地では断続的に生息を続けました。
コウノトリを排除しない庶民の風潮があったからです。
3.開発、圃場整備等により野生絶滅した以後も、地形と気候は変わらないため、
自然は復元力を有していました。
4.そこで、放鳥前から、とくに生きものを育む農法、河川高水敷の湿地化、
転作田・放棄田のビオトープ化等々の自然再生事業を進めてきました。
5.自然再生の取り組みは、まだ緒に就いたばかりですが、これらの成果として
餌生物が増えたことが、放鳥コウノトリたちの生活を支えていると自負しています。
6.もちろん、十分ではありませんので、不足分を給餌で補っているのが現状です。
しかし、餌量は具体的にどのくらい不足しているのかについては、判断が非常に
困難です。
放鳥から5年が過ぎた現在まで、豊岡では餓死した個体はおりませんし、一度も
給餌に頼らない個体も数羽います。
以上から考えると、市民でも様々な見解があり、反対というよりも、気になる方は自身で判断して自分で給餌されている状況です。
なお、蛇足ですが、私たちは、「研究者の判断に従わねばならない」とは考えていません。
野生の生きものはだれの所有物でもありませんし、
研究者の意見は「科学的な判断」として一つの参考にするものと考えています。
「研究者に認められていないから給餌できない」というのは、私たちには理解できません。
コウノトリの郷公園も私たちも共に不十分です。
だから、今後も、野生復帰を共に進めていく者として議論し合い、
データを出し合いながら、やっていこうと思っています。
舞雪さんからいただいた
「もっと開かれたサイトにしろ!」「早く返信しろ!」とのおしかりについて
おしかり、ごもっともです。反論ありません、いや、できません。
弁明するとすれば、1番目に、冒頭に書いた私の性分のせいです。
2番目は、ネットの組織力の弱さです。
ただ、昨秋の国際かいぎ以来、それまでの舞雪さんの倉敷市に加えて、
福井県若狭町、愛媛県西予市から情報を寄せていただいており、その様子は発信しています。
「コウノトリの生息地を全国に広げる市民かいぎ」の成果と思っています。