けたはずれの巨大地震と津波、
一瞬にしてなくなってしまったまちと被災者の方々の映像を前にして、
そして10日以上が経つのに一向に収束のめどが経たない原発事故の恐怖で平常心が保てず、
ブログを書く気力がなかなか湧いてきませんでした。
被災していない遠くにいる者が何を書いても自己嫌悪に陥りそうで、
テレビや新聞から様々な人の意見や説明を吸収しようとしても、
政府や責任者の批判・非難が出てくると苛立ってしまいます。
探していると、気持ちにストンと入ってくる文章がありました。
週刊ポスト4月1日号の内田樹・神戸女学院大教授の寄稿文です。
「安全なところにいるもの」の基本的なふるまいかたについて書かれています。
氏によればこういう状況のときに、「否定的なことば」を発することは抑制すべきだ。
いまはオールジャパンで被災者の救援と、被災地の復興にあたるべきときであり、
他責的な言葉遣いで行政や当局者の責任を問い詰めたり、なじったりすることは控えるべきだ。
非常時では、平常時のルールとは変わっていい。
臨機応変にルールの弾力的運用に配慮したい。
災害への取り組みは
「共同体の存続」という喫緊の要請に応えるものであり、
それゆえその手立ては専門的知見に基づいてこれを統御できる専門家に委託すべきだ。
いかなる「政治的正しさ」とも取引上の利得とも関わりを持つべきではない。
原子力のような、一歩誤ると共同体の存続にかかわるようなハイリスクのテクノロジーの管理運営は、
国威の発揚にも金儲けにも興味がなく、
国土と国民の安全だけを優先的に配慮する「かたくなな」専門家に委託すべきである。
私たちも、肝に銘じたい。