啓蟄の前の日、
3月5日に田結地区でアカガエルの産卵状況を調べました。
調査員は、田結地区の方4名、湿地ネット3名で、
目的はもちろん、一昨年、昨年に行なった放棄田湿地化の効果を見るためです。
今年の冬は厳しく雪も多かったので、
産卵は遅いのではないかと思っていましたが、
これは人間の思いで、生きものたちは変わりなく季節の変化に応じていました。
具体的には、2月末の暖かい日が続いたときに一気に産卵したようです。
まずは、谷の前部。

こんな感じで、湛水された至る所で卵が産まれています。

この卵塊を、こんな感じでひとつひとつ数えていくのです。

中にはこんなでっかい卵塊も。
区切りがないので、大きいのも1つとしてカウントしたので、写真の数は15個です。

イノシシが掘った穴にも産卵です。
ここでは、獣が踏み荒らした跡も適度な水の溜まり場所になっています。
ちなみに、横に写っている赤い小さな水草は、
これも蠢(うごめ)き出したオオアカウキクサ但馬型です。

昨年に「わくわく子供塾」の子どもたちが掘った池にも、きっちりと産卵していました。
掘ったかいがあってよかったね。
前部での数は2,540個。
昨年の同時期(2月27日)と比べると約半数です。
でも、カエルは急激な撹乱初年度に大繁殖させ、2年目からは落ち着いて
数も安定してくるそうです。
「数の変化は、大体こんなもんだよ」との声ありです。
谷の奥では、掘った池にはほとんど全てに産卵されていました。
みんな水流がないために安心して産んでいます。
産卵がなかったのは、鉄分が強い池、まだ雪で覆われた池でした。

山裾の池では、今年もヒキガエルの卵塊がありました。

魅力的なので、手で感触を味わってみました。なかなかGoodです。

ついでに、アカガエルの卵塊もさわってみました。
1年ぶりの感触です。コラーゲンたっぷり。

中には、もうオタマジャクシになって泳ぎ回っている者も。
日照の違いで、成長度合いがかなり異なります。

奥部でのアカガエル卵塊数は537個+α。
αは一部がオタマジャクシになり卵塊が壊れてカウント不能なものです。
ヒキガエル卵塊は3個でした。
乾燥化が進みやすい放棄田でも、
水を引き込み、流れに気をつけ、堰を作ったり池を掘って湛水すると、
各種のカエルが喜んでくれることが改めて確認できた1日でした。
アカガエルのオタマが成体になり、
今度はトノサマガエルやアマガエルが、その次はモリアオガエルが順番に湿地に繰り出し、
それをコウノトリがいただく。
田結の湿地帯は、これからもドラマが続きます。